ナノセルロースについて

セルロースはグルコース(ブドウ糖)がつながったポリマーです。ほとんどのセルロースは、植物の光合成で作られており、毎年1,000億トンのセルロースが作られ、植物の中に繊維として蓄えられています。われわれは植物かこの繊維を取り出し。紙、衣類などとして使っているわけです。このセルロース繊維は径が20~50μmで、髪の毛と同じくらいの太さです。

ここで紹介するナノセルロースは、セルロース繊維をさらに1億分の1まで細くしたもので、具体的には繊維の径が3~100nm(=0.003~0.1μm)のものを指します。ナノセルロースには、セルロース繊維とは異なる優れた特性があります。例えばナノセルロースの水懸濁液は粘度が高く、それを加えることで粘度を調節することができます。また水懸濁液に圧力を加えると粘度が下がり、元に戻すと粘度が上がるという、チキソ性という性質もあります。さらに比表面積が大きく、表面にいろいろな化学物質を結合することができる官能基という手をたくさん持っています。このほか、ナノセルロースの繊維は、セルロース繊維に比べて高強度です。

近年、世界でナノセルロースの商業生産が始まり、またこれらの特性を生かしたアプリケーション開発が進められています。日本では、ゲルインクボールペン、紙おむつ、スピーカー、タイヤなど、ナノセルロースを使った製品も販売されています。日本で知名度の高いセルロースナノファイバーは、ナノセルロースの一つです。

ナノセルロースについて、詳しくお知りになりたい方は、株式会社エンパシードが運営するWebsite「ナノセルロース・ドットコム」をご覧ください。